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コラム


2003.07.19 アルコールの摂取後、飛行に影響する時間は?

WHEN IS 8HOURS "BOTTLE TO THROTTLE" NOT ENOUGH ?
-Flight Safety Australia 1999 July (pdf)-

窓際のビール

 パイロットならだれでも知ってる様に、アルコールの摂取はもちろん飛行に影響する。 航空機事故の16%は、パイロットによる酒気帯びによるものと検証されている。
 アルコールの摂取が飛行に影響するとは知っているものの、実際アルコール度数がゼロになるまでの要する時間を認識しているパイロットは少ない。 飛行の前夜、わずかな量のアルコール摂取でさえ、時には危険な状態に陥る時もある。 アルコールの摂取は具体的にどのような影響があるのだろうか。

疲労

 アルコールは、快眠の手助けになると考えられているが、通常の睡眠パターンに大きな影響をもたらす。 総睡眠時間が充分であっても、深い眠りにおちいるのが早く、睡眠中のREM(眼球運動)が激しくなり、睡眠パターンを狂わす。 結果として、翌日の疲労や集中力の低下につながる。
 しかしながら、アルコールの摂取は悪いことばかりではない。 標準的なアルコール摂取量と食事を一緒に時間をかけて取れば、徐々にアルコール度数も低下し、就寝時にはアルコール度数がゼロになり、睡眠に影響するすることはない。
 また、アルコールには他にもさまざま影響がある。 例えば、日常時よりも早く目が覚めてしまう、就寝中に排尿を促進する。 特にパイロットの「時差ボケ」に大きな影響をもたらし、複数の時間帯で勤務する国際線パイロットには、微量のアルコール摂取でも、この時差ボケからなかなか回復することができなくなるという症状がでる。

見当識喪失

 飛行中の空間見当識(方向性認識)は「視覚」「均衡性」「臀部」の3つの要素からなる。 わずかなアルコール摂取でさえ、この3つの要素に影響する。
 前夜に大酒をし、翌朝二日酔いで頭痛の為、めまいを起したり、自分のいる部屋が動いて感じることがある。
 実はこれは、微量のアルコールが三半規管に入り込み、三半規管の導管内の液体よりアルコール自体が速く、また余分に動こうとして、頭を平行に保とうとする信号を狂わし均衡性を悪化させているからである。 地上にいる状態でこの様に、空間見当識を失えば、もちろん危険な状態に陥るが、3次元で飛行するパイロットにはさらに多大な危険性をはらんでいる。
 均衡性をつかさどる三半規管から完全にアルコールが抜けきるに、約1週間はかかると言われている。 飛行中に、手元の地図を読み取るのに頭を下げたり、上げたりするとわずかに残ってるアルコールが三半規管の機能を狂わし、気分が悪くなり、空間見当識を失ってしまう。 身近な例で、車に同乗者として乗っている時、地図や本を読んでみると思いのほか気分が悪くなるのはそのせいである。

飛行能力

 飛行前の24〜48時間前に大酒をし二日酔いの状態であると、頭痛、胃腸のむかつき、情緒不安定、身体的能力低下、疲労などパイロットにとってありがたくない症状になる。 アルコール摂取14時間後にアルコール度数が0.01とほぼゼロに近くなったとしても、68%の確率で何らかの判断ミスを起すと言う検証がある。

その他の影響

 アルコールの摂取はその他にもさまざまな影響をもたらす。 例えば、低酸素症、低酸素の為の病気、体温の変化などである。
 アクロバット・パイロットにとって、アルコール摂取は「G」に耐えうる能力を低下させる。 平均的な量のアルコール摂取後、アクロバット飛行に対する影響は約0.5Gの耐久力が低下と言われている。 またアルコールは筋肉の緊張を和らげると言う利点もあるが、飛行中に身体にGが掛かると、多量の血液が下半身に流れ込むみ、脳内にあるべき血液が少なくなる。
 特に腹筋は血液が下半身に流れ込むのを止める役目があるが、アルコールの摂取で機能が低下した腹筋は、血液を食い止めることが出来ず、脳の血液の低下、最悪はGに耐え切れず気を失うことになる。

オーストラリア航空法

 オーストラリアの航空法では「アルコール摂取から飛行まで8時間は空けること」とあるが、摂取量によっては上記に挙げたさまざま影響がある。 パイロットにとって、体調良好な時飛行するべきであり、時には翌日の飛行を考えるとアルコールの摂取も控えるのが賢明である。

おわり
[アルコールの摂取後、飛行に影響する時間は?]